トップ > 日本化工機材株式会社(サガツク企業レポート2014)

日本化工機材株式会社

①化成品(シリカゲル等)の製造・販売
・食品や医薬品等の乾燥剤として知られるシリカゲルの他、カメラ・レンズ用乾燥剤等、防湿・防錆に優れた自社製品などの開発もしています。
 
②紙製品(角紙管等)の製造・販売
・リサイクル紙(再生紙)から作られ、幅広い用途で利用される角紙管。梱包材やパレットに利用されており、強度に優れ、木材・金属などの代替として家具や建材にも応用されるなど、注目されています。※角紙管…再生紙で作られた、角状の筒。
 
③包装設計(パッケージデザイン)事業
・精密機械や電子機器など、軽量物、重量物に問わず、梱包するものに合わせ、緩衝包装をデザインからすべて設計、製造しています。
 

企業ホームページ「日本化工機材株式会社」LinkIcon





 
 家電量販店や通信販売などで商品を購入すると、商品を保護するために、細部までしっかりと梱包されていることに気が付きます。普段何気なく目にしているこの梱包材や緩衝材を作っているのが、日本化工機材。その他にも、お菓子などに入っているシリカゲル(乾燥剤)を製造するなど、私たちの手元に、安心・安全に商品を届ける役割を担っているのです。
 
 日本化工機材の企業としての大きな特徴は、海外に及ぶ事業展開ではないでしょうか。現在、タイに2社、マレーシアに1社、中国天津に1社、現地法人を構えており、売上高の半分を占めているそうです。日本ならではの緻密なものづくりの技術は、世界でも評価されているのですね!
 

 
 大澤社長は国内営業所だけでなく、海外で働く日本人社員とのコミュニケーションも積極的に行い、年に8回程度現地へ赴きます。現地の社員ならではの意見や提案を聞く機会を設け、プライベートでの食事の時には、仕事の話を熱く語り合うこともあるとか。
 
 そんな大澤社長は学生の時に社会人団体の山岳会に入り、登山を楽しんでいたそうです。山は小さい頃からの遊び場ということもあり、今でも年に一度は、奥様と一緒に山登りに行くそう。自然に触れることは、いいリフレッシュとなっているようです。



 

 営業の仕事は、単に自社製品を勧めて買っていただくだけではなく、お客様の要望やニーズに応える気持ちを常に持つ。これは営業部で活躍されている宇野さんが日頃の仕事のなかで大切にしていることです。
 
 以前、角紙管を新たな建材として注目していたお客様から、展示会のブースのデザインと設営の依頼を受けました。角紙管を使った魅力的な展示ブースにしたいと設計図を作ったのですが、現場でうまく設営できなかったり、足りない資材を自ら、会場の東京ビッグサイトから相模原の工場に取りに走ったりと、時間との闘いでもあったそうです。でもそんな苦労があったからこそ、頭のなかで考えたデザインが実際に展示ブースとして形になったところを目にした時は、とても大きな達成感を味わったそうです。
 
「この展示会で、角紙管の建材としての可能性を、たくさんの人に感じてもらえたのではないでしょうか」と楽しそうに語ってくれました。私が訪問した相模原の工場にも、角紙管でつくられた椅子やテーブルなどがあり、紙でできたとは思えないほどの力強さに感動しました。
 


 

 スポーツが好きな宇野さんは、休日も体を動かすことでリフレッシュしているそうです。学生時代からやっている野球は、今も会社の草野球チームに所属し続けています。長年続けてきた野球で培われた体力、精神力が営業の仕事で発揮される場面もありそうですね。




 

「人のために、家族のために、自分のために仕事をする」。
 これは大澤社長の仕事に対する考え方であり、日本化工機材の社是でもあります。大澤社長はこの言葉を念頭に、日々の事業展開や、社員の配置換えを考えるのだそうです。
 
「人は人生のほとんどを仕事に費やします。そう考えると、上司次第で部下の人生は決まるともいえます。だからこそ、上司は部下の適性を見つけ、育てていくべき」と語る大澤社長。日本化工機材は、子会社を含めると、社員は約300人。その社員の家族も合わせた約1000人分の生活を支えているという自覚と責任を持っているそうです。社員一人一人を、“家族”として考えているんですね。
 


  

 社員さんについては、その人を信頼し、「やる気」を尊重しています。宇野さんについてお聞きすると、今回定年退職するベテラン社員さんが30年間お付き合いしてきたお客様を、任せているところだそうです。しかも、その方はトップセールスマン。宇野さんの責任は重大ですが、「連絡一つとっても、お客様に対してきめ細やかなフォローができる」と信頼を寄せている様子。期待してもらえている分「頑張ろう!」という気持ちが湧いてきそうです。

 
 職場については「いい意味で上下関係がなく、下の意見も上が汲み取って聞いてくれる」と語ってくれた宇野さん。以前、依頼された案件の詳細を確認せずに進めて、話が行き違いになってしまったことがあった時、上司から「お客様には、こまめに確認を重ねるといいよ」と助言をもらい、それからは丁寧に、書面やメールで連絡や情報の共有をするように心がけて実行しているそうです。
 
 お客様からの要望に自分だけでは対応しきれない場合は、まずは上司に、時には社長にも相談します。営業部と社長室が近いこともあって、「あの案件、どう?」と声をかけてもらうことも多いそう。社長と社員さんの距離感の近さも魅力のひとつですね。
 

 
 また、常に相手の立場に立ち、相手の気持ちを考えて、物事の表現や発言の仕方に気をつけているという宇野さん。たとえ社内の同僚であっても、初めて出会うお客様でも、そこは同じように気をつけているそうです。今後、より円滑な人間関係を築くために、私も見習いたいと思いました。
 

 
 初めての海外進出は20年前。マレーシアに生産工場を持つお客様に、日本の工場で生産した緩衝剤を輸出していました。徐々に輸出量も増えた頃、現地生産した方が双方にメリットがあると考え、進出を決意。しかし、まさに事業所を構えたその直後、発泡スチロールの出現によって、日本化工機材の緩衝剤は全く売れなくなってしまったのです。
 
 当時を振り返り「あの時は真っ青になりましたね」と大澤社長。でもその後すぐにタイにいた別のお客様にアプローチ、販路開拓をしてピンチを切り抜けました。
 


 

 どんな時も前を向いて進んできた大澤社長。「これからの時代、男女問わず、積極的にグローバル展開を視野に入れられるようになってほしい」とアドバイスをいただきました。
 
 例えば海外勤務に関しても、「行ってもいいかな」という人ではなく、必ず「行きたい」という人に任せるそう。その気持ちがあるからこそ、海外での事業も発展し、今も成長を続けられているのかもしれませんね。
 
 


 

「昔からものづくりが好きだったことと、学生時代の先輩がここで働いていて、その働きぶりや人柄を見て、会社に興味を持ったんです」と、入社当時を振り返る宇野さん。他の業種から転職してきたため、最初は梱包資材に関わる専門用語が全く分かりませんでした。先輩たちに教えてもらうだけでなく、展示会に出かけて勉強したり、お客様や仕入先の方とコミュニケーションをとる中で、積極的に製品の知識を習得したそうです。
 


 

 就職活動についてお聞きすると、「いい結果ばかりではないと思うし、自分自身もすぐに決まったわけではなかったけれど、自分の魅力を信じて、自信を持ってやり抜くことが大切」と語ってくれました。
 
 就職活動は、その会社に頑張って合わせることが重要だと思っていましたが、宇野さんの話を聞いて、自分の魅力を活かせて、理解を示してくれる会社なら、イキイキと働くことができるのではないかと思いました。
 

大澤 浩一郎 社長

ねじれの出ない新しい製造方法で「リニア角紙管」という製品を生み出しました。梱包材の枠を超え、椅子などの家具も開発しています。様々な可能性が広がる会社です。





神奈川営業所 営業本部所属 宇野祐輔さん

当社の製品は、再生紙を主原料としたものなど、環境問題や廃棄問題にも対応した、地球に優しい会社。社会貢献をしたいと思う人が働くには、とてもいい場所だと思います。



立教大学 3年生
 E・T


 今回訪問した相模原市中央区にある日本化工機材の本社は、製造工場と営業所が一緒にあります。
 大澤社長が社員の方とお話しているところもよく見受けられ、取材ではたくさん写真を撮らせていただいたり、皆さん温かく出迎えてくださりと、アットホームな雰囲気がとても印象的でした。
 
 取材の中で特に印象に残ったことは、「会社は家族」という言葉です。社長ご自身は、「どの会社にもいえること」と繰り返し仰っていましたが、社員の体調管理やその家族のことまで気にかけるというお話に、私は非常に感動を覚えました。
 
 また、大澤社長が宇野さんに大事な仕事を任せ、宇野さんもその期待に誠心誠意応えようと日々努力されていることを伺って、お二人それぞれのお話から、お互いの信頼を感じることができました。このような関係を築くために、社会に出た時、どういう在り方をすればいいのか。働く場にいる「人」との向き合い方について、考えるきっかけにもなりました。
 
 私は宇野さんが「常に相手の立場にたって発言をする」と語ってくれたように、どんな場面においても、相手がどんなことを必要としていて、自分は何をしてあげられるのかを考えていきたいと思いました。相手の立場に立って考え続けることが、自分自身の大きな成長と、会社というチーム全体を成功に導く秘訣になるのではないかと思います。