株式会社リガルジョイント
①流体機器事業
液晶パネルや半導体の製造工程で冷却水の流れや温度を計測する流量計を開発、製造しています。
②環境事業
人工的にオゾンガスを発生させる生成装置を開発、製造しています。
殺菌や脱臭効果を発揮し、食品・介護・水産・農業等の分野で活用されています。
③熱交換器事業
ガスから電気をつくり、発電した際の排熱を給湯に利用する家庭用燃料電池システム「エネファーム」の小型高温ガス冷却器として使用されています。
閑静な住宅街の中にそびえたつ五重塔を彷彿させるリガルジョイントでは、朝8時半から朝礼が始まります。全員が対面して行われる朝礼は、「お客様の身になって商売をする」という経営理念を共有する大事な時間です。
リガルジョイントの製品を私たちが直接目にする機会はほとんどありませんが、その技術は、ものづくりの現場には欠かせないもの。稲場社長も、「最先端の技術を支える黒子としての自負がある」と語ってくれました。
休日は、野球、ゴルフ、マラソンと、趣味の時間も大切にしています。年一回はフルマラソンにエントリーしているそう。
「マラソンってきついし、しんどいけど、自分との戦いに勝って、あきらめない心を持ち続けたい」。
稲場社長の言葉から、「何があっても前に進んでいくぞ」と伝わってきました。
松下さんの一日は朝礼から始まります。
主力製品である流量計は、液晶テレビを製造する際、液晶パネルの保護や導電を目的とした0.1~6マイクロメートルほどの薄い膜をつける成膜工程で、冷却水の流量や温度の監視に活用されます。
製造部にはそれぞれの作業台があり、お互いに情報交換をしながら、業務を割り振ってすすめていきます。「液晶テレビやスマートフォンなど、身近な製品に間接的に携わっている嬉しさもありますし、より良い製品を造っていきたいと思っています」と語ってくれました。
技術向上を図るため、社内外での研修も盛んに行われており、現在松下さんは、信頼される製品を提供するために品質管理に関するQC検定の資格取得を目指しています。休日は朝から勉強をはじめ、気がつくと夜になっていることもあるそうです。
稲場社長が大切にしてるのは、人と人との繋がり。
社員さんから自由闊達な意見が出るような環境を作りたいという想いから、朝礼スタイルを一新しました。社員さんにも会社のこれからについて考え、発言してもらう機会を増やすことで、「会社全体で頑張っていこう」という雰囲気をつくってきたそうです。
スマートフォンやパソコン・テレビなどに入っている半導体。その製造過程で活用されるリガルジョイントの技術は「シリコンサイクル」と呼ばれる半導体業界の好不況の波の影響を受けることも多いそう。社員さんを路頭に迷わせるわけにはいかないと、安定した経営を目指すために環境事業や熱交換器事業にも取り組むようになったそうです。
また、所属している野球チームのメンバーは、20年以上の付き合いになる少年野球や高校野球時代の仲間だそう。学生時代からの人間関係も、大切に守っているんですね。
リガルジョイントはみんなで支え合う社風。入社当時、電話対応が苦手だった松下さんは、先輩に「数をこなせば慣れてくるから、大丈夫だよ」と励まされ、自ら進んで電話対応に取り組むようになったそう。
初めの頃は、稲場社長にも厳しい印象を持っていたそうです。業務上での関わりはないものの、技術者でもあった社長に業務のことで声を掛けられると冷や汗をかくことも…。しかし、社員1人1人に「頼むぞ、頑張れよ」と優しく声を掛ける姿も間近で見ていました。今は、「恵まれた環境の中で働けている」と感じているそうです。
24歳の時勤めていた通信機器メーカーの社長の「東南アジアへ行って来い」という一言に「わかりました」と即決。5年間の海外生活の中で、ある国では、土管の中で暮らす子供達がいたり、またある国では、トイレすらなかったり…。そんな光景を目の当たりにして「世界で起こっていることに比べたら、俺の悩みはなんて小さいことだ!」と、大きなカルチャーショックを受けたそうです。
そんな稲場社長の夢は、「海外に会社を作り、若者にチャンスを与えられる会社、社長になる」こと。
どんな人材を求めているのか聞いてみると、「チャンスを前にした時に、できるかどうかを自分の尺度で考えて、やってもいないのに諦めてはいけない。」と語ってくれました。自分だけのモノサシで物事を考えずに、失敗を恐れずに挑戦していくことが大切なのだと思いました。
松下さんとリガルジョイントの出会いは、母校での会社説明会でした。説明会での話を聞くうちに「流量計ってなんだろう」と興味を持ちました。
就職の決め手は会社訪問。社員さん達がイキイキと働き、社長とも熱心にコミュニケーションをとる姿を見て、ここで働きたいと思ったそうです。
学生時代にやっておくべきことを聞くと「勉強」その一言でした。テスト対策のための一夜限りの勉強では、その場ではわかっていても、時間が経つと忘れてしまい、深い知識は身につかない。「働いてみると、学校で学んだ専門的な知識が、今の仕事に繋がっていたと気づくことも多いんですよ」と、教えてくれました。そんな松下さんは、昨年会社の模範として、優良従業員にも推薦されたとか。常に学び続ける姿勢が、周囲からの評価を得ているのではないかと感じました。
稲葉 純 社長
「私たちは、自社だけで製品をゼロから造ることはできないけれど、社員みんなの知恵や協力会社と力を合わせれば、
“リガルジョイントに造れないものはない!”
と、そう思っています。」
製造部 製造一課 松下和登さん
「誰かが困っていたら助ける環境。会社全体で頑張ろうという、前向きな雰囲気の中で働けます。」
拓殖大学 3年生
S・K
今回の取材は、遠くの山々が見えるリガルジョイントさんの5階ラウンジで行われ、稲場社長、松下さんのあたたかいお話に聞き入ってしまいました。
私の“会社”に対するイメージは、社長というのは遠い存在で、社員とは関わることもなく、お互い顔を知らないこともあると思っていたのですが、稲場社長が社員さん1人1人に声を掛けると知った時には驚かされ、1人の社員として、仕事や人生へのアドバイスを直接受けてみたいと思いました。自社の利益だけでなく、社員の働く環境にも目を向けている会社なら、自分も心から会社のために働こうと考えられるのではないでしょうか。
そして、私の心に響いたいのは、「今悩んでいることも、多くの経験をすることで、小さな悩みだったと思えてくる。そのためにも、失敗を恐れずに何にでもチャレンジしてみる」というお話。これまでの学生生活で、「何か頼まれたときに、失敗を恐れずに物事に取り組めていたのか」と考えさせられました。今後は、どんなことにも迷わずに挑戦していきたいと思っています。