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株式会社イー・エム・シー・ジャパン

電子機器の電磁波環境試験(Electro Magnetic Compatibility=EMC試験)専門機関 
 自動車の車載電子機器から航空機・ロケット・衛星などに搭載されている観測機器まで対応。
 
電磁波試験の規格に関するコンサルティングサービス・CEマーク取得支援
 ※EU圏内に輸出するために必要な、様々な基準をクリアした安全性を示すマークです。
 
日本の技術力を駆使したロボット宇宙飛行士を作る(KIBO ROBOT PROJECT)支援

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村上薫 社長


 

 EMC試験とは、電子機器内部から発せられる電磁波の大きさや、落雷等、外部から受ける電磁波への耐性を調べること。イー・エム・シー・ジャパンは、お客様から依頼される製品のEMC試験を、全部で13ある試験室(テストサイト)で行っています。私たちの身の周りには電子機器があふれ、いつも当たり前のように使っていますが、安全で便利な技術は、こうして守られているんですね。
 
 私も実際にテストサイトを見学しました。そこで試験を受けるのは、パソコンや医療機器などの一般機器から、自動車、航空機に搭載される電子機器、戦闘機やヘリコプターなど防衛関連の通信機器、さらには国際宇宙ステーションの観測装置など、様々。試験室はまるでSF映画のワンシーンのようで、金属板に覆われたとても不思議な空間。世に出る前の製品がここに運ばれ、試験を受けているのだと思うとワクワクしました。
 
 EMC試験には国内外であらゆる規格が決められていて、お客様からの試験に関する相談や複雑な規格に関する困りごとに対応できることが、イー・エム・シー・ジャパンの大きな特徴。村上社長が「私たちの仕事はサービス業」と語るように、エンジニアの方々の豊富な知識と、素早く真摯な対応が、お客様から評価を得ているそうです。
 


 

 前職ではエンジニアとして活躍されていた村上社長。そこで培った知識と技術を発揮し、自ら測定に必要なソフトの開発に携わることもあります。今も昼食は社員の皆さんとテーブルを囲むなど、技術を究めるだけでなく、コミュニケーションも大切にしていることが伝わってきます。
 
 そんな村上社長の休日の楽しみは、奥様と愛犬と家でのんびり過ごすことだそうですが、外食する時は、経営者目線でお店の接客の様子を観察することもあるとか。同じサービス業として、会社に反映できることを常に考えているんですね。
 

測定技術部 佐々木悠さん、鈴木友香理さん


 

 佐々木さんは自動車のエンジン制御装置であるコンピュータやETC、オーディオ機器など車載電子機器を担当。特に最近は、車載カメラやカーナビに使われる部品の試験も多いそうです。
 

 
 鈴木さんはパソコンや医療機器といった、消費者向けの一般製品を担当。主に家電量販店などで普段目にするような製品の試験を行っています。「自分が試験に携わった製品が販売されているのを見ると、愛着が湧く」そうです。
 
 試験の申し込みが入るとまず、お客様から仕様やサイズなどの製品情報を受け取り、社内で先輩エンジニアにも相談しながら、試験可能かを判断し、可能であれば価格の提案と試験日の段取りに入ります。
 
「メールでのやりとりは書き方によって、お客様に誤解をあたえてしまう場合もあります。そのため、文面を読みやすいものにすること、書いた内容や表現をきちんと確認し、すみやかに返信するよう心がけています。」(佐々木)
 
「質問がある場合でも、お客様の手を煩わせないよう、極力まとめてご連絡するようにしています。」(鈴木)
 
 試験日当日は控室を整え、お茶うけなどもしっかり準備。にこやかな笑顔でお客様を迎えます。「試験終了後は、結果のデータをエンジニアから受け取り納期までに試験レポートを作成し、お客様に送付します。知識や技術を高めるだけでなく、お客様とのやりとりにも細かい心遣いを忘れないその姿勢は、「サービス業」そのもの。意識の高さを感じました。

 

 
 この会社は設立当時、社員4名の小さな会社でした。当時別の会社で働いていた村上社長は取引先として、イー・エム・シー・ジャパンと出会ったそうです。
 
 エンジニアとしての自信を持っていた村上社長ですが、社長業には苦労されたそうです。「突然社長になった私を、当時の社員はすぐには認めてくれませんでした。社長として足りないものは何か考えた結果、”社員を信じて業務を任せる”ことが必要なんだと気付きました」。
 
 現在30人いる社員の皆さんは、それぞれ技術や事務など職種が違っても、“お客様のために”という会社の目的に向かって真剣に取り組む人たちばかり。「みんな、見ている先は一緒」という一体感があるそうです。「創業当時から、社員を信じて、自由にやってもらっていた」と語ってくれた村上社長。「私たちの仕事はサービス業」という考えのもと、お客様にファンになってもらうため、社員さんと共に日々努力してきたことが、厚い信頼につながっているのではないでしょうか。

 

 
 お二人から見たこの会社の社風は「家族のように仲のいい会社」だそうです。
 
 分からないことがあるときは先輩が丁寧に教えてくれたり、力仕事では男性社員が荷物を運んでくれたりと、「みんな優しいんです(笑)」(佐々木)と語ってくれ、お互いにサポートし合える雰囲気だそうです。
 
 事務所では皆さん真剣な様子で緊張しましたが、見学していると手を止めてにこやかに話しかけてくださる方もいて、明るくて親しみやすい雰囲気を実感しました。部署が違っても、朝出勤したときに一緒にコーヒーを飲みながらコミュニケーションをとったり、お昼には女性社員さんが事務所内のキッチンでまかないを作るなど、年齢や性別、職種を超え、本当に家族のような信頼関係で結ばれていることがよく分かりました。
  


 

 村上社長が理想とする社員は、「コミュニケーションがとれることと、やる気に溢れた強い気概を持っていること」。特に試験業務では、困っているお客様に対して、プロとしての自負を持ち、どんな時でも真摯に対応することはもちろん、時にはお客様であっても、言わなければならないことは、きちんと伝えることが求められます。学生のうちから自分の主張ができることは重要で、「その姿勢が安心を与え、結果、リピートにつながる」という言葉には、説得力を感じました。
 


 

 社長の夢はこの分野でのリーダー的な存在になること。「日本一とは言わず世界一を目指したい」と考えているそうです。だからこそ、「次のイー・エム・シー・ジャパンを担ってやるぞ」「自分ならこういう会社経営をしたい」という視点で考えられる人材を求めているそうです。グローバルに発展していくなかで、何にでも挑戦できるというのも、中小企業の魅力。自分の可能性をどんどん広げ、働くことの面白さを感じられるのではないでしょうか。
 


  

 お二人とも入社当時、EMC試験の知識もなく、最初は友人に頑張って会社の説明をしても、上手に説明できず「車検の会社?」と言われたこともあるそうです。しかし社内で開かれる勉強会で基礎から学び、先輩に教わったりしながら、徐々に仕事の手順や内容を理解し身につけていきました。
 
 今では「知っている人が少ない業界なので、逆にEMC試験を知っている人がいるとすごい嬉しくて、親近感がわきますね」(鈴木)。「最近は、効率の良さを考えながら仕事を進められるようになりました。試験結果レポートの納期も短縮できるようになったのも、少しずつつみ重ねてきた経験があるからこそ」(鈴木)と、イキイキした表情で語ってくれ、仕事への情熱を感じました。
 
 そんなお二人が学生時代にやっておけばよかったなと思うことは、経理事務に必要な知識がつく簿記などの資格を取っておくことと、英語。「海外の仕様に合わせ報告書を作ることもありますから、今のうちから慣れておけるといい」(鈴木)そうです。また、仕事では様々な年代のお客様とのやりとりをしなくてはなりません。どんな時でもきちんと対応できる社会人になるために、社交性は欠かせないと、アドバイスをいただきました。

 

  

村上薫 社長

「“やってやるぞ!”という気持ちを、私だけでなく、社員も持っています。これからさらに伸びていって、お客様に元気が与えられるような会社にしたいと思っています。」


測定技術部 佐々木悠さん、鈴木友香理さん

「お客様第一。社員の皆さんサービス精神に溢れた、話し上手な人たちです」(佐々木)
「社交的な方たちばかりで、楽しい会社です」
 (鈴木)


記者 R・O

 イー・エム・シー・ジャパンの自社パンフレットはとても面白いです!
 就活生が疑問に持ちそうな点やEMC試験について、謎ときの展開で分かりやすく説明されています。興味のある方はぜひ会社見学に行ってみてください!

 普段全く関わることのない、会社の社長や実際に働いている社員の方々にインタビューをするということはとても緊張しました。EMC試験についてはそれまで全く知識がありませんでしたが、電子レンジやカメラなど身近な電子機器を例にして分かりやすく丁寧に説明をしていただきました。エンジニアさんが見ていた複雑な測定レポートを見て、すぐ結果と問題点を見抜く社長の知識と経験の豊富さに驚きました。
  
 また、仕事に対する情熱、社員の方々への熱い想いは、とても説得力のあるものでした。お二人の社員の方々が、「村上社長は社員を見守っている感じ」とおっしゃっていましたが、社長の「社員を信じて業務を任せる」という考えが浸透しているのだなと感じました。新入社員のときに電磁波に関する知識がなくても、勉強会などを経て仕事がこなせるようになっていったという鈴木さんと佐々木さん。知識がなくても飛び込める仕事だということは、私たち就活生にとってもチャンスだと思います。自分の得意分野を生かせる職を選ぶことも選択の一つだと思いますが、今まで全く知らなかった世界に挑戦することは、自分の可能性を広げていけるという点で、大きな魅力だと感じました。
  
 さらに、このEMC試験は、これからの時代ますます必要とされ、世界を相手にする仕事。語学がどれだけ社会で必要とされているのかを、強く実感しました。就活でのアピールポイントとしてだけでなく、学生のうちにできることを少しずつやっていくことが、社会人になってからも成長し続ける原動力になるのかもしれないなと感じました。
 


 

日本女子大学 1年生
 R・O